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幕間〜忍び寄る影〜
 ガキン――と、鋭い金属音が、月明かりに照らされる薄暗い庭先に響いた。
 土蔵を飛び出した瞬間、そのタイミングを待っていたかの様に、外でこちらの様子を窺っていたサーヴァントが仕掛けて来たのだ。
 だがそれは、私の予想の範囲内の攻撃だった。
 手にした剣でその攻撃を往なすと、駆け足の勢いを殺さぬまま相手の懐に飛び込んで、次なる一撃の為に深く腰を落とす。
 サーヴァントは、私の間合いから離脱しようと動くが、その動作はあまりにも鈍かった。

「遅い!」

 叫びながら、身体を捻転させて剣を振りぬく。
 力任せに大振りをし、相手の腹に不可視の刃を叩きつけた。
 その一撃は、絵に描いたかのように見事に極まり、紫の髪のサーヴァントは、その身を放り投げられた巻き藁のように転がす。
 ようやくその勢いを弱めた頃には、お互いの距離は十メートル以上離れていた。
 弾き飛ばされたサーヴァントは、何とか立ち上がろうともがいているが、今は弱々しく両手を突く事で精一杯のようだ。
 ――好機。
 私は、相手が回復する前に止めを刺そうと、足を踏み出した。その時だ。

「――な、なんなんだよ、おまえっ!」

 甲高い、少年の声が響いた。
 そちらに目を向けると、そこには私のマスターと同じ服をまとった、同世代の少年が塀の上に立っている。
 恐らくは、このサーヴァントのマスターなのだろう。
 蹲ったまま、立ち上がることの出来ない己のサーヴァントを呆然と見詰めた後、やがて顔を青ざめながら私に視線を向けた。

「聞いてない。おまえの事なんて聞いてないぞ!
 さっきの女が、衛宮のサーヴァントなんじゃないのか!?」
「――女?
 女とはあの黒衣の魔術師の事か?」

 少年の言葉に、私は注意深く尋ねる。
 ”女”が、本当に別のサーヴァントなのか、それとも何か他の存在と勘違いしているのかは判らないが、どちらにせよ気になる話には違いないからだ。
 しかし――

「何やってるんだよ、ライダー!
 早く立ち上がって戦えよ、この役立たず!」

 少年は、私の言葉など耳に入っていないようだ。
 恐怖に顔を歪めながら、何やら手にした本を使って、己のサーヴァントに命令を下している。
 ライダーと呼ばれたサーヴァントは、その命令に突き動かされるようにもがくが、私が与えたダメージはそれ程甘いものでは無い。
 立ち上がろうとする度に、先ほどの私のマスターのように大量の血を零し、その傷をさらに深めていた。

「諦めろ、ライダーのマスター。
 自分のサーヴァントを殺すつもりか?」

 その原因となる致命傷を与えておいて、我ながら馬鹿げた台詞だとは思ったが、目の前で苦しみもがいているライダーを見て、思わずそんな言葉を口にする。
 少年は、私の言葉に狂気の眼差しのまま振り返り、憎々しげにこちらを見下ろした。

「煩い、化け物!
 サーヴァントのくせに僕に命令する気か!?」

 顔を真っ青に染めながら、怒鳴り散らすライダーのマスター。
 ――その言葉で、心のどこかにあった、”少年”に対するリミッターのような物が外れた気がした。
 成る程、これが聖杯戦争なのだ。
 先ほど魔術師の女を逃した事で、心のどこかに隙が生まれたか。

「――どうやら状況が解っていないようだ。
 よろしい。では、順番を変えることにするか」

 言って、私は不可視の剣を構えなおした。
 これは自分への言葉でもある。
 間違えてはいけない。これは”戦争”なのだ。
 何のために、私はここに居る? ――それを思い出さねば。

 身体の向きを少年の方へ向け、両足を踏みしめる。
 殺気を持った視線を向けると、ライダーのマスターは、ようやく現状を理解し始めたようだ。

「ま、待てよ、そんな……卑怯だぞ!
 おい、ライダー! おまえ、死んじゃっても良いから、とっととこの化け物を殺せよ!」

 少年が、気がふれたかのように、ライダーに命令を下した。
 己のマスターの、死を前提とした命令に、ライダーの身体がむくりと起き上がる。
 無言の彼女は、無残にも傷からダラダラと血を零しながら、ゆらりとこちらへ向き直った。
 ――なに。止めを刺す順番が元に戻っただけだ。深く考えてはいけない。

「来い。
 直ぐに楽にしてやろう」

 少年に向けていた剣を、ライダーに向けなおし、私は低く呟いた。
 それを合図にしたように、彼女が地を駆ける。
 何の策も無い。けれど今の彼女にとって、恐らくは精一杯の全力疾走。
 私はそんな彼女に対し最低限の礼を尽くすために、腹の底に力を溜め、次の一撃で確実に仕留めるよう、必殺の構えを取った。
 と、そこへ、

「わ、わ、わっ!
 なんだ、急に本が!?」

 唐突に、少年が叫び声を上げる。
 生死をかけて向き合う気合すら、薄れてしまうような情け無い声。

「――何っ!?」

 だが、目の前のライダーにだけ意識を向けていた私も、思わず声を上げてしまった。
 少年が叫ぶのとほぼ同時に、彼女の姿が唐突に消えたのだ。
 それに続いて、黒い影のようなものが現れ、足元からソレに飲み込まれそうになる。
 間一髪、高く飛びのいて母屋の屋根に避難すると、その影は大地に吸い込まれるように消え去った。

「カカカ。やはりそう甘くは無いかの」

 そして、呆然と影が消えた場所を眺める私の耳に、楽しげに笑う老人の声が響く。
 声の方向に視線を向けると、先ほどの少年が立っていた場所に、もはや人間とは思えぬ禍々しい気を纏った翁が立っていた。

「先ほどは我が愚孫がお見苦しいところをお見せしたようだ。
 どこぞの名のある英霊とお見受けするが、ここはどうかワシの顔を立てて、見逃してはくれんかのう」
「冗談を言え。
 みすみすここで貴様のような怪しいヤツを逃がすと思うか?」
「やはりそうか。
 ならば、ワシの首を……いや、天はこちらの味方と言うわけか」
「――?」

 老人は、飄々とした口調で語りながら、にやりと口元を歪める。
 私は、その意図が全く理解出来なかったが、老人の暗く窪んだ瞳が、こちらでは無く塀の向こうに向けられている事で、ようやくある気配に気が付いた。

「召喚されたばかりの所で忙しいのぉ。
 今度は中々の強敵のようじゃぞ。
 ワシの相手をしている暇などあるまい」

 言って老人は、ゆっくりと闇に吸い込まれるようにして姿を消す。
 しかし、私は彼の言葉通り、その姿を追いかけることも出来ず、こちらに向かってくる気配に意識を集中させる事しか出来なかった。
 ――間違いない。
 それは、先ほどのライダーとは比べ物にならないほどの力を持った、”サーヴァント”の気配だった。





(お知らせ:予定を変更して、あともう一度幕間が来ます。博打は次回)



| 長編 SS [Family Affair.] | 23:52 | comments(17) | trackbacks(1) |
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コメント
Family Affair、読ませて頂きました。
他のSSと違って、士郎×キャスターであった時に魔力量の制限をあえて付けていたところが新鮮でした。
が…魔力供給途切れて消えちゃいましたね…キャスター…結局、真名も明かせずとは…。
凛と合流するのか、あるいはキャスター復活するのか、継続してバゼットが掻き回すのか、今後の展開を楽しみにしています。
| 壮一 | 2004/08/23 1:44 AM |
セイバーが登場して、次回は一通りの主役キャラが出揃いそうですね。
士郎が幕間中に目を覚ますかどうかでキャスターとセイバー、凛とアーチャーの対応も変わるでしょうし、この後の展開がどうなるか、すごく楽しみです
アーチャーがセイバーにぶった切られるかどうか、活目してみさせていただきます。
次回の更新、がんばってください。
| 師走 | 2004/09/06 11:03 PM |
続き期待してます
| 五十六 | 2004/09/20 4:23 PM |
何度読み返しても面白い!
セイバーが登場したのは嬉しいのですが・・・・・・・
キャスター消えちゃったんですかー!?
いやいや。ソンナハズハナイ・・・・。
きっと元気な姿をみせてくれると信じています!!
それでは、次回も楽しみにしてます。頑張って下さい。
| yu- | 2004/10/26 5:09 PM |
SS読ませてもらいました。
続き期待しています!
| ムーア | 2004/12/31 3:12 PM |
SS拝見させていただきました。
とても面白かったです!
最近更新が止まっているようですが、
続きを期待しています
| DTK | 2005/01/31 8:19 PM |
とても、おもしろい。 是非、キャスター$ライダー復活を
しかし、衛宮がバイトに行くのは間違っているとおもいますね。 下手すると、バイト先の人を、死に追いやる可能性があるような。(これは、衛宮への文句で作者への文句ではありません)
しかし、キャスターの少し意地悪なお姉さん、優しいお姉さん、純粋なる少女を兼ねている、魅力的です。
| アレクサエル | 2005/02/17 2:41 AM |
他所とは違うキャスターとバゼットの扱いが、
とても面白いです。
続きを待ち遠しいのです。
| イラ | 2005/03/15 8:11 PM |
サーヴァント女性陣ハーレムとゆ言うことは、ライダーも士郎に惹かれるのかな?昔の日本妻のように尽くすキャスターさんはかわいいですね。話の続きを期待していますがんばってください。
| TY | 2005/04/13 4:26 PM |
ハーレムでしたらもちろんみなんとハッピーエンドですよね。期待してます。
| Oz | 2005/05/03 1:24 PM |
再会、気長に待ってますよ〜
| OH | 2005/11/09 10:09 PM |
面白いです
次作期待してます
展開としては、ハーレムでハッピーエンドを
| hiro | 2005/12/16 2:30 PM |
はじめまして。素晴らしいものを読ませていただきました。
キャスターは(ライダーもですが)プレイ時から気になっていたのですが、この話のキャスターは、んもう最高です!
最近更新されていないようですが、次話を楽しみにしています。
できれば人間女性キャラもハーレムに……、是非!!!
| 眠生 | 2006/01/09 6:24 PM |
続き読みてぇ〜〜。
読みたい読みたい。

楽しみにしています。
| 独楽犬 | 2006/01/24 11:42 PM |
始めまして、白銀の天使といいます。
最初から読ませてもらいました。キャスターが自覚なしに心惹かれていく様子が何だかとってもよかったです。セイバーも召還されましたしライダーも出てきましたしこの先が楽しみなんで是非この作品を完結させてほしいなぁと思いました。
追記:全キャラひっくるめてハーレムってのは聞いた&見たことあるんですがサーバント女性陣だけってのが新鮮でしたのでそこも結構気に入りました。
追記2:女性陣もいいんですが兄貴ことランサーは何時でるのかなぁ?とこっちも気になってしまいました。
| 白銀の天使 | 2006/10/17 1:43 AM |
管理人生きてるの?
|   | 2007/02/07 6:55 PM |
復帰、心よりお待ちしています。
| 読者 | 2008/05/29 2:08 PM |
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幕間〜忍び寄る影〜
| come fare associazione | 2007/04/30 3:59 AM |